GUNSLINGER GIRL 感想その一

今年中にガンスリの感想をひとまずアップしておきなさいという電波を受信したので書きます。要は俺はガンスリがすごい好きだということです。以下ネタバレもあり。

 

 

 

今月の半ばに「GUNSLINGER GIRL」の最終15巻が発売されました。雑誌の方は追っていなかったので、この数ヶ月、発売を楽しみに待っていました。発売日には仕事の帰りに秋葉原に自転車を走らせて買いに行き、家に帰ってからはなんというか別れを惜しむように一ページ一ページ読み進んでいったような気がします。大切な作品だったので、これで終わりというのは寂しいものでした。しかしよくきちんと終わらせてくれたな、昨今着地点を見失って永久にさまよう幽霊のような長編漫画が多い中で、見事決着をつけてくれた相田裕先生には本当に感謝したいと思います。素晴らしい作品をどうもありがとうございます。

 

この作品と出会ったのは比較的最近で今年の3月でした。最初に読んだ時はそのモチーフの悪趣味さに辟易しつつも、良く分からない魅力に引き寄せられて何度も読み返しました。スナッフビデオに出演、強盗に一晩中暴行され片手片足片目を失う、先天的な全身麻痺、などなど悲惨な境遇の少女を政府が心身共に改造し、自らの担当官を盲目的に愛するように薬で洗脳し、暗殺を始めとした超法規的任務に使役する、とまあなかなかに酷い設定の作品ですが、不思議と下品さを感じることはありませんでした。何ででしょうね。

 

あとは、上のように要素やあらすじを書き出すと本当にひどいだけの話なのですが、実際に読んでみると、そういった表面上のモチーフは割とどうでも良くなってきます。作品は記号の集合ではないのだなあと改めて思い知らされます。作品全てが隠喩的と言ってもいい。

 

全4部構成の妙、6巻でのテコ入れの成功(ペトラの登場はエヴァ破のマリの登場を彷彿とさせる)、過去のエピソードの活用の上手さ(伏線の回収ではなく)、11巻以降のアクションシーンの圧倒的迫力、クライマックスでのひとつひとつの言葉の厳選っぷりなどいろいろあるのですが、また別の機会に書きたいと思います。

 

今年は「鋼の錬金術師」や「ヒストリエ」などの超傑作も読んだし、作品周辺の盛り上がりを含めて何が一番楽しめたかといったらぶっちぎりで「咲-Saki-」なのですが、作品単体で何が一番好きだった? と聞かれたらこの「GUNSLINGER GIRL」になります。面白いだけじゃなくて、もちろん面白いんですが、なんというか大切にしたい作品なのです。最終巻のAmazonレビューもあらかた読んだけど、結構似たようなトーンの思いを持っている人が他にも沢山居るようで少し嬉しくなりました。

 

取り急ぎ以上です。最後まで読んでくださりありがとうございます。

皆様が良い新年を迎えられますよう。