数年ぶりに大声で怒鳴ったら攻撃的な性格になってしまった

ので少し困っている、という話です。

 

少し前に、かなり大きな声で怒鳴った。普段誰かに対して大声で怒ることなどまず無いのだが、その時はいわゆる「堪忍袋の尾が切れた」。本気で怒鳴るのなんて何年ぶりだ…。相手が執拗に無根拠な罵声を浴びせてきて、冷静に話して理解できる知性を相手は持ち合わせていないことは知っていたので、聞き流してしまおうかと一瞬迷ったがこれは我慢できないと判断し、自分の正当性に問題が無いことを確認して(といってもそんなに冷静に判断したわけではない。その時はただひたすらに腹が立って絶対に俺は悪くない、ここでやり返さなければ後悔すると感じただけ、だと思う)、抑えること無く大声で怒鳴り返した。何と言ったかは覚えていないがまあ別に内容はどうでもいい。要は相手に「俺は貴様に本気で怒っている、これ以上ふざけた言葉を垂れ流すつもりなら相応の覚悟をしろ」ということを伝えることが目的なのだから。結果その相手は黙り、事情を知っていた回りの人間も相手が100%悪いことは分かっていたのでそいつは相応の処罰を受け、私は特に社会的に失うものは無かった。この判断には今でも後悔は無い。

 

  

と、それはそれで終わったことなのでいいのだが、問題はその後である。その場で私は怒りを吐き出してとりあえずスッキリしたはずなのだが、その後もそれとは関係の無い些細なことでもやたらとムカムカするのだ。平たく言うと、怒鳴り声を上げた後からやたら攻撃的な性格になってしまったように感じる。はっきり自覚できる所では、内語が汚くなった。また、身振りや話し方も粗雑になっている、ような気がする。そしてそれをなかなか抑えることが出来ない。もちろん他人に直接的に何か非道いことを言ってしまったりとかは無いので、今のところ目立った問題にはなっていないが。

 

まあこれは一時的なもので、時間を置けば落ち着くとは思う。子供が武器を手に入れて、調子に乗ってところ構わず使ってみたくなるのと変わらない。そのうち慣れて言動も元に戻るだろう、というかそうならないと困る。

 

しかし、勿論あんまり望ましいことでは無いが、「相手を傷つける能力がある」ということは現実的には重要なことだな、と思った。対象が反撃をしない存在だと分かると際限なく攻撃し続けるゴミの様な人間というのは確かに存在して、反撃できる力があると示すだけで、相手に「こいつを屈服させるのは高くつく」と思わせるだけで丸く収まる場面というのは結構ある。

 

車椅子バスケ漫画『リアル』で野宮が、試合前に苦手なアウトサイドシュートの練習を重ねていた主人公に「よくやった。試合ではこのことは忘れよう。付け焼刃でスリーポイントなんて入らねえ。でもそれでいいんだ。たとえスリーを打たなくっても、〈いざとなったら打てる〉ってだけで。刀を差していることが大事。いつでも抜けるってことが」みたいなことを言っていた(今手元に単行本がないのでうろ覚えだが大体は合ってると思う)。まあこれは実際にスリーが入ればより良いので少し話はずれてくるけど。

 

武器を持つこと、いざとなればいつでもそれを使用出来ること、また、それを選択的に使用しないこと。

 

しかし、もし自分の手中にそこそこの威力を持つ武器があったとして、その武器を無目的に使ってみたいという欲望に勝てるのだろうか? 人はその手の中にあるものは善悪関係なくとりあえず使ってみたくなる存在だ。アメリカで5歳の男の子がライフル銃で2歳の妹を誤って射殺してしまったなんて痛ましい事件も最近あった。

 

また、武器を持つことでそれを使用する機会を無意識的に望み、トラブルの場に居合わせる確率を上げてしまうのではないか? 武器を使いたいという欲望がその可能性を高める危険があるかも知れない。戦いにおいて最上は戦わずに勝つこと、戦って勝つのは大分落ちる。というかそういう場面に居合わせるというだけでも上手くない。武器を持つことでトラブルに巻き込まれやすくなるなら本末転倒にも程がある。

 

じゃあどーすればいーの? というと、まあ武器を手放す、というのは無いわな。武器が100%必要ない環境に身を置けるというなら話は別だけど。国家同士の外交と似てますね。基本的な戦力を保持して、いざとなったら戦争することもできるというのが外交の土台になっている訳だし。

 

暫定的な結論として、戦力の強化と使用はあくまで別の問題として考える、切り離すのがいいんじゃないかな。戦力の強化は自分の能力を高めるものとしてそれはそれで楽しいので伸ばせるだけ伸ばす。使用する機会がないなら別に一生なくても良い。そして戦力を持っていることを極力表には出さないようにする(そんなこと出来るの?)。能力と行動の分離。でもまあ大人だったらこれくらいはできないとマズイわな。

 

この些細なことでやたらムカムカするのをどうすればいいの? という最初の話に戻すと、内語の乱れに気を遣う、というところからですね。当たり前すぎてちょっとアレだがまあ仕方ない。とりあえずもっかい孫子読みます。若干話が飛んだがかえって応用が効きそうなところに繋がったので書いて良かった。

 

〈余談〉

で、言葉に出すことの効果というのはあまりに大きくて恐ろしいナーと思ったわけです。発話は強烈な威力を持って性格にフィードバックする。考えているだけのこととは比べものにならない程のインパクトがある。しかもおそらくプラスの言葉よりもマイナスの言葉の方が力が強い、格段に。100回「ありがとう」と言うより1回「死ね」という方が大きな影響力がある。