ヤマノススメセカンドシーズン17話がくそやばかったという話

江畑諒真氏の才能についてです。天体のメソッドEDについても触れます

 

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上はヤマノススメセカンドシーズン17話と天体のメソッドEDのエンドクレジットの画像で、作画監督として江畑諒真氏の名前が記されています。これによると天メソEDは絵コンテ・演出・作画監督・原画を全てやっているらしく、ヤマノススメセカンド17話も原画を一人でこなしている様です。凄い

 

 

11月5日水曜午後10時過ぎ、いつものように人間の基本的な権利としてヤマノススメセカンドシーズン17話を視聴していました。武蔵丘陵森林公園でのアスレチック回ですが、その動きがあまりにも衝撃的で、何か見てはいけないものを見ている気分になりました。こんな激ヤバ脳トロコンテンツを公共の電波に乗せていいの? それほど、画面の中のあおいやひなたのひとつひとつの動きが正に「Animated」でした。生命が吹き込まれている。特にひなたのつり橋での走り方には衝撃を受けました。これナンバやん!

 

ナンバ

 

ナンバ走り (光文社新書)

ナンバ走り (光文社新書)

 

 

無駄な力が抜けて腕をあまり振り上げず、球関節それぞれをうまい具合にバラけさせて動かしているというか。見ているだけでこっちも体がぐにゃぐにゃしてきそうな(褒めてる)。昔の日本人は足と同じ側の手を一緒に前に出して走ってた!とかいう感じの言い古されたアレは沢山本が出てると思うので読んでみてください。右手と右足一緒に出す、だけでは説明としては不十分なので(重要なのは肩と股関節)。個人的な感覚としては、学校に通う前の(身体運用が画一的に矯正され始める前の)子供の動きは割とナンバに近いかな、と思ってます。そのすぐ後のぽんぽこマウンテンでのひなたの軽やかなジャンプ(というかダンス)でもその自在なやらかさが存分に表現されている。

 

これ描いた人、人間の体をよく研究しているし観察しているなー。足も腕も、それぞれ足の付け根、肩を視点にしたヒンジ運動ではなく、もっと体の中心に近い所を支点にとった、更に言えば支点が1点に固定されないスムーズな動きをしている。何かこれに近い動きを最近どこか他のアニメで見た様な…? そういや天メソのEDってもしかして… こんな感じで上記クレジットのチェックから江畑諒真氏の名前に行き着きました。

 

天体のメソッドのEDでも正にそうした動きが意識されており、限られた時間ながらも登場人物が歩く、走る、階段を降りる、体を揺らす、それぞれのシーンが非常に気持ちよく活き活きと描かれてる。特に柚季が少し上を向いてニコニコしながら歩く所なんか(かわいい)、へそのあたりから足が釣られているのが良く分かるというか、芯が通っていてかつ軽い歩みでいとをかし

 

勢い余って

 

もう一つ。人間が体を動かす時、例えば空間に一直線に

 

A B C D E F G

 

というマーキングがされているとします。B地点からF地点に動きたい時、大抵の場合は勢い余ってG地点まで移動しちゃってからE地点まで戻ることになる(更に言えば、Bから無意識に一度Aに戻って軽く勢いを付けてから移動、思いの外Gまで行き過ぎてしまい、その勢いを収めてFに最終的に戻る、という動きになりがち。つまりB→A→G→Fとなる)。もちろんモデルを使った喩え話で、それぞれの地点の間隔は適当です。試しにこの文章を読んでいる方は体を左右どちらかに適当に揺らしてみていただきたい。ほんの少し、「直後の動きに備えてテイクバックする」「勢いを殺して体を元の位置に収める」力が働くのを感じると思う、多分。

 

天メソEDで湊太が階段から降りて来て左右に体を自然に揺らすシーン、あるいはノエルが今期最高のピースサイン(かわいい)を乃々香にかますシーンなどを見ていただければ分かりやすい。また、ヤマノススメ2nd17話はあらゆるシーンでこの動きを採用しているのでまるっと見返してみると面白いかも。

 

また、ひなたが「パイレーツ・オブ・サイタマー!」つって船に上って(かわいい)左手を横に払ってるシーン、払う腕と反対方向に胴体が反動受けとして一瞬移動しているところとかも芸が細かい!と思いました。

 

江畑氏は人間の体が動く時に起こる現象をかなり入念に観察しているんだろうと思います。反動を常に意識しているし、基本的な人体の構造を良く研究してるし、あと何より生の人間を良く見ている。もちろんそれをそのままアニメにトレースするのではなく、アニメというフィルタを通した時、視聴者が自然にかつ魅力的に感じるレベルに表現を適度に誇張して描いている。絶賛です。

 

こういう表現ってあんまり見た記憶が無いんだけど他にできる人は居るんだろうか? さすがに他に誰も出来ないということは無いだろうけど、劇場版とかでは無くレギュラーアニメで予算や製作期間にそれなりの制約がある中でこんなインパクト大の表現をさらっと実装できてしまうのにはかなりの熟練を感じる。江畑氏の経歴をググって見たところ他に見たことがあるのはまどマギWORKING!!くらいか。どちらも正直今回ほどの驚きを覚えてはいないので最近特に技術が伸びてきたということなんでしょうかね。

 

という訳で凄い才能なので江畑諒真氏の名前を良く覚えておこう、と思いました。おしまい。 

 


「ヤマノススメ セカンドシーズン」 | 【アニメ】はバンダイチャンネル

 


「天体のメソッド」 | 【アニメ】はバンダイチャンネル